青森の朝風呂文化を読み解く
朝風呂を浴びる人々
まだ夜も明けきらない暗い時間帯から、温泉の駐車場に続々とライトをつけた車が集まって来る・・。
青森県では、このような光景は多くの温泉で見ることができます。その温泉に入らなければ1日が始まらない、近所の常連さんたち。これから出勤する前にひと風呂浴びて気合を入れたい、スーツ姿の人。全国を移動している合間に癒しを求める長距離トラックの運転手。
朝の温泉には色々な人が集まって、熱い湯に静かに身体を沈めてそれぞれの場所へ出発していきます。
津軽の温泉の成り立ち
早朝から営業している温泉のほとんどは、日帰りの公衆浴場、温泉銭湯です。
津軽には湯治場として歴史ある温泉旅館が多い一方で、温泉を利用した公衆浴場、大型の日帰り温泉施設が昭和40年頃からの掘削技術向上と動力(ポンプ)の発展に伴い、急速に開発されました。「黒鉱」と呼ばれる鉱脈の発掘を目的とした掘削や、石油を求めて掘削したところ温泉が湧き出たのでそのまま浴場の営業を開始するなど、様々なパターンで津軽の温泉は増加していき、そのスピードは全国にも類を見ないほどでした。(参考:青森県温泉地質誌)
温泉が湧き出ている総量を表す「湧出量」において青森県は全国4位で、その9割以上が動力(ポンプ)による湧出です。(環境省 「令和元年度温泉利用状況」より)
125
1,075
658
146,233 L/分
437
268
*1 環境省「令和元年度温泉利用状況」より
*2 厚生労働省「令和2年度衛生行政報告例」より
津軽の朝風呂文化
青森においては全国的に見ても早朝から始まる温泉が目立って多いと言われていますが、その理由については諸説あります。
まず、青森の人が早起きだというデータがあります。平成28年社会生活基本調査(総務省)では早起き!?ランキングで全国第2位につけています。津軽の温泉の中には、元々はもっと遅い時間の営業開始でしたが毎日常連さんが早くから並んでいるので、どんどん開店時間を早めていったところもあります。
もうひとつは、沸かし湯ではなくかけ流しの温泉を浸かった浴場が多いためです。温泉がどんどん湧いているため、その分お客さんを入れる時間が長くできるという説もあります。
今では、津軽の生活にとって朝風呂の温泉は無くてはならないものになっています。
青森旅行は早起き・朝風呂・朝ごはんがおすすめ
旅行では、ホテルで目覚めて朝食会場へ向かうのが一般的。少し早起きして朝風呂に行くことで、一日のはじまりが別の光景に変わります。朝風呂(温泉・露天・サウナ)でひと汗かいたところで、地域の季節の朝ごはんをいただく、最高の贅沢です。朝食後、旅の目的地へ向かう足取りも軽やかに変わります。
朝風呂の入浴方法
朝風呂の入浴について、もちろん本人が満足して入浴することが大切ですが、安全に気持ちよく入浴するためのポイントを紹介します。
まず、朝の時間帯は睡眠中に汗をかいて身体から水分が失われている状態なので、血液がドロドロになりがちで、脳梗塞や心筋梗塞などの入浴事故に繋がる恐れもあります。入浴する前後に、コップ1杯以上の水分を補給するようにしましょう。入浴後に水を飲む人は多いかと思いますが、前にも水分を取ることが非常に大切です。
また、あまり熱めの湯に長風呂することは避けて、ぬるめのお湯に入るのがおすすめです。朝から急激な温度変化は身体に負担をかけるため、ぬるめ浴槽があればそちらに入浴するのがよいです。
とはいえ、津軽の人々は熱~い湯が好きなので満足できないかもしれませんが…その場合でも、最初はぬるいお湯に入って身体を慣らしてください。
入浴前にはかけ湯をして、浴槽のお湯の温度に身体を慣らしてから入浴するのも大切です。
この「入浴前後の水分補給」と「かけ湯」は朝風呂に限らず温泉入浴にいつでも心がけてほしいポイントですが、朝は特に実践してもらいたいです。
是非、安全に朝風呂を満喫して素晴らしい1日を始めてください。
(その日の体調によって無理のない入浴を心がけましょう。持病のある方やかかりつけの医師がいる場合は、医師の指示に従ってください)